海軍めしたき物語

自衛隊の野外炊具1号の件から この本を教えてもらった。既に絶版?
なんとか入手し入院中に読むつもりが元気がなくやっと昨日読了。
ノンフィクションは苦手だが コメディではないが楽しめた逸品であった。

第二次大戦前後の「霧島」で前線に出ていた海軍さんの話だ。
街を行く海軍さんの袖にペン先のバッジを見て 経理事務でラクそうだと海軍に
志願したらめしたき係だったと。それならしゃもじのバッジつけとけみたいなw

末端の兵隊さんなので 現実にはまったく戦況すらわからずドンパチの最前線に
いたワケでもないので ただただ炊事班の目で当時の話をしている。
どこの世界も下っ端は似たようなものなんだなと戦後60年経っても変わらないなと。

勿論戦時下ということで縦社会度が強固で鉄拳制裁の嵐。
同期の桜などや戦友など美化されて聞かされてきたけれど まったくといって
いいほど 同期の付き合いも何より会話もなくその場限りの付き合いだったと。

海軍と陸軍 また前線のチームなどで従事していた人とは違うのかもしれないが
大正生まれの叔父の葬式で 葬儀屋に止められたにも関わらず靖国参拝のような
装束でいきなり軍歌を歌いだして顰蹙を買った叔父の戦友たちを思い出す。
とは言え その唄で目にハンカチを当てている人も多かったのは事実だ。

船底で朝から晩まで船員の食事を作って海上を見ることすら稀。
戦局などまったく関係なく過ごしていたという。おかげで時節の観念もないため
我ながら自家製の終戦までの年表を片手に置いて読んでみたりした。

戦艦ヲタではないので巡洋艦とか駆逐艦といっても 詳しく解ってるわけでもないし
「霧島」を始めとして「加賀」「赤城」「飛龍」「蒼龍」などの艦のことを知っていたなら
もっと楽しんで読めただろう。併走してる様はさぞ勇壮だっただろう。

名前すら知らない同じ日本兵が死んでも 敵兵が死んでも 殺伐感はないけれど
やはり物悲しいし ハワイ襲撃が成功したと言ってもカタルシスは感じない。
読み手次第なのかもしれないけど だからといって「戦争はいけましぇーん!」
なんて エセリベラルのようなことを言うつもりもない。
人間である以上は「戦争」でなくとも争いはあるし 日本だって太平洋戦争で
負けていなかったら 今頃慎太郎首相の鬼畜米英長期政権かもしれんw
何か反戦運動など興味はまったくないが 今の3〜40代以降若い人に読んでほしいと
思う一冊であった。今の人には考えられない話だろうな。